ノリ
塗ったような青
森ノ宮6号登場!
3号は変わらず微妙な距離
- 作者: 大島洋
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2008/01
- メディア: 単行本
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
その一方、確かに写真を撮るということの深みは、そうした分析や計画性の密度によってだけ推し量れるものではない。どんなに緻密な撮影計画に時間を割いたとしても、そのためにどれほどの努力と持続力を傾注できたとしても、写真を撮るということは、結局のところ写真家の直観と直感であり、街を歩きながら、カメラの中に写し出される風景を見つめながら、テンションが高まってゆく「ノリ」のようなものである。まなざしの力はこのノリの中でこそ瞬間的に発揮される才能であって、じっくりと時間をかけて見ることではないし、必ずしも凝視するということでもない。
長期的で緻密な計画は、自分自身の能力を超えて風景と出会うための、たとえそれが無意識に実行されたものであったとしても、アジェの才能であった。風景と、世界と、ファインダーの中で、いつ、いかにして、どのように出会うか。これを置いて、写真家の才能について語ることは出来ない。
ノリ。不遜ながらなんとなく分る